関係者各位
拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。また、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
紫外線が日焼けやシミ、しわ、皮膚がんの原因になることは広く知られるようになり、日焼け止めや化粧品での肌のケアについては一般でも常識となっています。一方、目も紫外線で様々な病気を生じることが明らかになってきました。
強い紫外線を浴びることで起きる目の日焼けは、紫外線角膜炎・結膜炎(充血)を引き起こします。長年にわたって浴び続けることで、黒目のわきにシミができる瞼裂斑(けんれつはん)、黒目(角膜)部分に白目(結膜)部分が侵入してくる翼状片が発症しやすくなります。白内障も紫外線が原因の一つであることがわかっており、その前駆症状である老眼も紫外線により早期に発症します。紫外線による目の障害は蓄積し疾患として発症するため、子供の頃から日常的に紫外線を浴びると、将来その影響が出て、若いうちから様々な目の病気に罹る可能性が非常に高くなると私たちは考えています。しかし、小児期に浴びた紫外線量と将来発症する目の病気の関係についてはエビデンスが少なく、それを証明することが必要です。私たちは二十年以上前から研究を行っており、色々なことがわかってきました。紫外線量の異なる多くの地域で検診を実施し、紫外線が強い日本の最南端の沖縄県竹富町の子供たちは、小学校低学年から紫外線による目の病気(瞼裂斑)を高率に発症しており、紫外線の影響を強く受けている可能性が高いことがわかりました。紫外線が日本の2倍以上ある中国南部の海南省やアフリカ赤道付近のタンザニアで行った調査では、紫外線のために多くの住民が翼状片や白内障で失明していることもわかりました。長期間紫外線を浴び続けると若くして目の病気に罹ることを実感し、「失明」に繋がることがあることは誰もが知っておくべきだと強く思うようになりました。
影響が明らかになってきた一方で、目の紫外線に対する意識は低いままであり、多くの人たちが簡単にできるサングラスなどの紫外線対策をしなかったために、早くから様々な目の病気に罹っていることを医師として私は無視することができません。世界中の子どもたちが将来に渡り、目が健康で、青い海や青い空を見続けられることを願い、ここにNPOを立ち上げ、具体的な行動を突き進めていくことにしました。今後も長期的な調査を継続する必要があり、目が浴びた紫外線と目の病気の関係について、もっと多くのことを明らかにしていきます。目と紫外線に関する啓発活動も進めるとともに、紫外線が原因で多くの人たちが失明しているアフリカの途上国での医療支援にも力を入れていきたいと思います。
つきましては諸事多難な折、まことに恐縮ではございますが、何とぞ本NPOの趣旨にご賛同いただき、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。本来ならば、直接に参上すべきところでございますが、雑事にのみ追われております故、取り急ぎ書面にてお願い申し上げる次第です。
なにとぞ格別なご高配のほど、よろしくお願い申し上げます。

敬具
特定非営利活動法人紫外線から眼を守るEyes Arc
理事長 佐々木 洋